平成26年度プラズマ・核融合学会賞

平成26年度学会賞選考委員会
委員長:小森彰夫(副会長) 委員:小野 靖(東大),草間義紀(原子力機構),白神宏之(阪大)
委嘱委員:浅野克彦(日立),市村 真(筑波大),今井 剛(筑波大),岡田浩之(京大),奥野 清(原子力機構),尾崎 章(東芝),小西哲之(京大),乗松孝好(阪大),室賀健夫(核融合研),矢木雅敏(原子力機構)

第19回 技術進歩賞


受賞者 須藤 滋(核融合研),田村直樹(核融合研)
対象実績 「プラズマ計測のためのトレーサー内蔵ペレット手法の開発
Plasma and Fusion Research, Vol.8, 2402059 (2013) pp.1-8
選考理由 トレーサー内蔵ペレットの注入という独創的なアイディアを,CHSにおける実証実験からLHD実験に拡張し,さらに国際的共同研究に発展するなど,プラズマ計測に新たな可能性を切り拓いた功績は大である.独自の手法の提案,導入,実現,さらには当初の目標であった不純物輸送のみならず非局所輸送や原子分子過程の研究などへの応用でも顕著な成果が得られるなど,多方面への応用展開とそれにより得られた知見は,他の方法では得難い極めて優れた成果であり,本学会の技術進歩賞にふさわしい成果である.

第19回 技術進歩賞



受賞者 柳 長門(核融合研),伊藤 悟(東北大),橋爪秀利(東北大),相良明男(核融合研),寺義朗(総研大)
対象実績 「核融合炉マグネットへの適用を目指した100kA 級高温超伝導導体と機械的低抵抗ジョイントの開発」
Plasma and Fusion Research 9, 1405013 (2014) 他
選考理由 候補者は,実用化が困難で,大電力化への取り組みが希少な高温超電導材を使用して,強磁場・大電流導体を開発し,100 kA 級の通電が可能であることを世界で初めて実証した.特に,大型コイルへの適用をめざし,最も重要な技術である,導体接続で極小接続抵抗を安定に実現したことは特筆すべき成果であり,今後の原型炉実に向けた研究開発の進展に貢献するところが大きい.本論文は,当該分野の技術進歩に大きく貢献するものであり,本学会の「技術進歩賞」に値するものと認められた.

第19回 学術奨励賞


受賞者 染谷洋二(原子力機構)
対象実績 定期保守時に発生する核融合原型炉の放射性廃棄物管理シナリオの検討
Plasma Fusion Research 7, 2405066 (2012)
選考理由 候補者はブランケットやダイバータの詳細なモデル化により核融合炉の残留熱の正確な評価を行った.その結果,ダイバータの残留熱にはタングステンアーマーの寄与が大きいこと,ブランケットの残留熱の多くは第一壁付近の低放射化フェ ライト鋼に起因することなどを見出した.候補者は,これらの知見に基づき,残留熱を制御しつつ行う炉内機器の管理,定期保守交換,廃棄物管理を具体的に検討しシナリオを示した.詳細なモデル評価により,核融合炉の保守管理シナリオ研究を進展させた意義は大きく,本学会の学術奨励賞に値するものと認められた.