学会の概要>>プラズマ・核融合学会賞

最終更新日:2010.2.12


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平成21年度プラズマ・核融合学会賞

委員長:藤山寛(副会長,長崎大学)
副委員長:小川雄一(副会長,東京大学)
幹事:寺井隆幸(編集委員長,東京大学),伊藤早苗(企画委員長,九州大学)
委嘱委員:居田克巳(核融合科学研究所),橋爪秀利(東北大学),矢部孝(東京工業大学)

第17回論文賞

受賞者:洲鎌英雄(核融合科学研究所),渡邉智彦(核融合科学研究所)



論文題目:Gyrokinetic Studies of Ion Temperature Gradient Turbulence and Zonal Flows in Helical Systems
Plasma Fuion Res. 3, 041 (2008)

選考理由:
大型ヘリカル装置ではプラズマを内側方向にシフトすると理論的にはITG 乱流が大きくなるにもかかわらず,実験では閉じ込めが改善される結果が得られており,その物理機構の解明が課題となっていた.本論文では帯状流によるITG 乱流の抑制効果を取り入れたジャイロ運動論に基づく計算を行い実験結果に定性的な説明を与えることに成功した.著者らはジャイロ運動論的解析でもってプラズマを内側方向にシフトすると帯状流が大きくなり閉じ込めが改善することを示した.内側シフトによる閉じ込め改善の物理機構は複雑で実験結果をジャイロ運動論的計算で再現することは困難であるが,著者らはヘリカルプラズマの磁場配位最適化に対する重要な知見を与えた.本論文はヘリカル型制御核融合に関する学理の発展に寄与する優秀な研究であり論文賞に値する.



第14回技術進歩賞

受賞者:近藤浩夫(日本原子力研究開発機構),金村卓治(大阪大学),杉浦寛和(大阪大学),山岡信夫(大阪大学),中村博雄(日本原子力研究開発機構),井田瑞穂(日本原子力研究開発機構),松下出(三菱重工メカトロシステムズ),室賀健夫(核融合科学研究所),堀池寛(大阪大学)



IFMIF 液体金属リチウムターゲット自由表面流に関する研究開発
プラズマ・核融合学会誌Vol.84-9, 600 (2008)

選考理由:
ITER と並んで核融合実証炉開発のための主要な研究設備である国際核融合材料照射施設(IFMIF)の開発がITER のブローダーアプローチのもとで進められている.IFMIF は加速器により発生する重陽子ビームを液体リチウムのターゲットに衝突させ,D-Li 反応により発生する中性子により材料への重照射試験を行う装置であるが,ターゲットである液体リチウムはノズルによりフィルム状に成形され,最大20 m/s もの高速で流す計画であり,その安定性が研究開発課題として挙げられている.本研究は,世界に先駆け,液体リチウム高速流を実現し,その流動安定性や電磁ポンプキャビテーション試験などループ系設計全体にわたる工学的な研究開発を行ったものであり,数多くの新たな知見を得るとともに,これまでのIFMIFターゲット流動やリチウムループ設計に関する全世界的な研究開発活動に大きく貢献したものである.以上の理由から,本研究は技術進歩賞に値すると判断された.



第14回技術進歩賞

受賞者:荒巻光利(名古屋大学),荻原公平(九州大学),吉村信次(核融合科学研究所),田中雅慶(九州大学)



飽和吸収分光と単一モード半導体レーザーを組み合わせた高精度レーザー誘起蛍光ドップラー分光システムの開発
# Review of Scientific Instruments, Vol.80, 053505 (2009),第25回年会招待講演4aC01

選考理由:
プラズマ中の中性粒子の流れ場を可視化する技術開発である.ドップラーシフトからプラズマの流れの速度を計測する方法は良く知られているが,計測精度は1 km/s 程度であった.本技術は単一モード半導体レーザーを導入して飽和吸収分光とレーザー誘起蛍光分光を同時に行うシステムを開発し,その計測精度を2桁向上することに成功し,従来技術では観測できなかった微小な径方向流れを計測した点に大きな進歩がある.本技術は,高温プラズマのみならずプロセシング用プラズマの計測にも適用されることが期待でき,技術進歩賞に値する.

田中雅慶(九州大学)教授からのメッセージ
 (09/12/24アップ)



第14回学術奨励賞

受賞者:本多 充(日本原子力研究開発機構)



対象となる主な成果:トカマクにおける高速粒子の瞬間的な電荷不均衡が引き起こすプラズマ回転の研究
# 第25回年会3aA09P

選考理由:
本多充氏はトカマクプラズマの径電場とプラズマ回転および熱粒子輸送を自己無撞着に解く多流体一次元輸送コードTASK/TX の開発を行った.これに粒子追跡モンテカルロコードOFMC を結合してJT-60U の中性粒子ビーム入射等に対するプラズマ回転の謎の解明に挑戦し,実験結果を定性的に説明することに成功した.今後のプラズマ回転の解明研究や制御研究に多大な貢献をするものと評価される.よって,同氏の業績は学術奨励賞に値するものと判断された。



第14回学術奨励賞

受賞者:山田琢磨(東京大学)


 

対象となる主な成果:Experimental Study of Drift Wave Turbulence on Linear Plasmas
# Plasma Fusion Res. 3, 044 (2008)

選考理由:
乱流に関する実験的研究は,制御核融合において重要な輸送の物理機構を解明するのに必須の研究である.プローブによるドリフト波乱流の計測は,いままでにいくつかの実験結果があるが,非線形結合の実測という分野はいままで未開拓であった.山田琢磨氏は,詳細な計測結果に基づいて非線形結合を実験的に明らかにしたという点において高い独創性が認められる.本研究は直線装置のプローブによるドリフト波乱流の計測に基づく実験結果であるが,その解析方法は高温プラズマにおける他の計測法による乱流計測に適用可能であり応用範囲も広い.また得られた実験結果は磁場閉じ込め方式によらない一般性をもつ物理の知見を与えている.本論文はその学術的価値も高く,制御核融合に関する学理の発展に寄与する優秀な研究である.よって,同氏の業績は学術奨励賞に値するものと判断された.




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