学会の概要>>学会賞>>平成18年度プラズマ・核融合学会賞受賞者

最終更新日:2007.02.21


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平成18年度学会賞(第14回論文賞,第11回技術進歩賞,第5回産業技術賞,第11回学術奨励賞(飯吉厚夫特別賞))に対して,論文賞3件,技術進歩賞2件,学術奨励賞2件の応募がありました。選考委員会を組織し,慎重に審議をし,その推薦に基づいて理事会で,論文賞1件,技術進歩賞2件,学術奨励賞2件を贈呈することに決定しました。

なお,選考委員は次の各氏です。

藤原正巳(副会長,選考委員長),松田慎三郎(副会長),田中和夫(編集委員長),佐藤浩之助(企画委員長),渡利徹夫(会長推薦),大野哲靖(会長推薦),小西哲之(会長推薦)

第14回論文賞

受賞者:

篠原孝司(日本原子力研究開発機構),石川正男(東北大学),武智 学(日本原子力研究開発機構),草間義紀(日本原子力研究開発機構),藤堂 泰(核融合科学研究所),福山 淳(京都大学),松永 剛(日本原子力研究開発機構),小関隆久(日本原子力研究開発機構)

論文名:Instability in the Frequency Range of Alfven Eigenmodes Driven by Negative-Ion-Based Neutral Beams in JT-60U

 プラズマ・核融合学会誌 Vol.81 No.7,p.547(2005)

選考理由:

本研究は,JT-60U装置による実験において350 keV負イオン利用の中性粒子入射により,ITERや将来の核融合プラズマで起こりうるアルファ粒子駆動のアルヴェン固有モード不安定性の解明についてのベースとなる実験研究である。不安定性の時間的発展や周波数などの性質を解明するだけでなく,ダイアモンド計測器や中性粒子分布計測による高速イオンの分布変化や,輸送を詳細に研究し理論計算との一致をみている。さらに進んで,先進運転として考えられている負磁気シア磁場配位でのアルヴェン固有モードの振舞いをはじめて明らかにするなど,今後のトカマク型核融合の物理的基礎を充実させている。その優れた研究結果は世界的にも高く評価され,論文賞に値すると判断した。


第11回技術進歩賞

受賞者:佐藤 聡(日本原子力研究開発機構),落合謙太郎(日本原子力研究開発機構),西谷健夫(日本原子力研究開発機構)

技術成果題目:DT中性子照射実験によるブランケットモックアップのトリチウム生成率測定及び数値計算手法の開発

選考理由:

 本研究は,DT中性子源によるブランケット模擬体系の積分実験と,中性子輸送計算により,TBM,特に複雑な構造を有する固体増殖型モジュールのトリチウム増殖率を,詳細かつ精度よく評価することを可能とした研究であり,核融合エネルギー開発上・学術上共に意義が大きい。ことに,現在世界的にも稀有の14Mev中性子実験を実施しつつ,モンテカルロ法などの数値計算,設計手法を高度化し,それらを相互に関連して体系的にブランケットの開発を進めることは,今後ITERを利用したTBM,さらにはエネルギー実用化に向けて重要な研究領域であり,世界を主導する本研究は技術進歩賞に値すると評価できる。



第11回技術進歩賞

受賞者:中西秀哉(核融合科学研究所),小嶋 護(核融合科学研究所),大砂真樹(核融合科学研究所))

技術成果題目:大型ヘリカル装置の定常実験用データ収集システムの開発

選考理由:

 本技術開発は,大型ヘリカル装置による定常実験で発生する大量のデータをリアルタイムで収集するために,従来のバッチ処理方式の制約を打開すべく,種々の技術的な開発を行ってきている。新しいデジタイザ規格の採用などいくつかの技術的改良により,データ収集,保存,転送等の広帯域化,実時間化を図ることで従来のデータ収集容量の2桁以上の高性能化を測り,大型ヘリカル装置の1時間を越える定常実験の多数の計測制御機器のデータ収集を可能にし,またITER等へ向けてもその技術ベースを作りつつあるといえる。計測技術の進歩に大きく寄与したことは技術進歩賞に値する。



第11回学術奨励賞(飯吉厚夫特別賞)

受賞者:永島芳彦(九州大学)

対象となる主な成果:トロイダルプラズマにおける周辺乱流の非線形過程の実験的研究

選考理由:

 本研究は,高温プラズマの乱流解明,輸送過程解明の基礎物理研究である。特に3つの波の結合過程に関して,3次相関解析に加えて,3次相関の位相解析にも着目し,独創的な研究を展開している。JFT-2M装置実験で静電探針の測定及び解析を通じて,周辺乱流におけるドリフト波,GAMとの結合の度合い,位相関係などを明らかにしている。CHS装置においても,Hモード輸送障壁における高周波揺動の解明など新しく貴重な研究成果を挙げており,今後の研究の展開が期待される。
 以上の理由により学術奨励賞に値すると判断された。


第11回学術奨励賞(飯吉厚夫特別賞)

受賞者:大山直幸(日本原子力研究開発機構)

対象となる主な成果:Edge Localized Modeの物理と制御に関する研究

選考理由:

 本研究は,トカマクプラズマにおける,いわゆるELMの研究である。ELMはHモード運転に大きな役割を果たすが,また一方で粒子制御,熱排出機器としてのダイバータの受熱板熱負荷,その寿命を決めるもので,その挙動解明と制御は極めて重要である。大山氏は開発したミリ波反射計を用いてELMに伴う密度崩壊過程を実験的に研究し,磁気面上での不均一性(弱磁場側で強く起こること)を世界に先駆けて明らかにしている。加えて,プラズマ形状要素によるELMの制御の解明や,小振幅・多周期であるGlassy ELMの制御,プラズマ回転によるその制御とITERへの適用性などに意欲的に取り組み,多くの成果をあげている。一連の研究は世界的にも高く評価されており今後ますますその活躍が期待される。

 以上の理由により学術奨励賞に値すると判断された。






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