平成30年度プラズマ・核融合学会賞

平成30年度プラズマ・核融合学会賞の授賞式および受賞記念講演は、第35回年会第3日目(12//5(水))に行われました

第26回論文賞


受賞者 諌山翔伍(台湾国立中央大)、篠原俊二郎(東京農工大)、羽田 亨(九大)
対象実績 「Review of Helicon High-Density Plasma:Production Mechanism and Plasma/ Wave Characteristics」
*Plasma and Fusion Research Vol. 13,1101014-1〜27(2018)
選考理由  本論文は,高密度プラズマ源として注目されているヘリコンプラズマに関して、これまでの研究成果と課題をまとめたレビュー論文である。励起波動の伝搬とプラズマへの吸収機構、高密度プラズマ生成の制限となっている中性原子密度の枯渇、プラズマの異常拡散現象などについて、物理的・定量的理解に重点を置いて丁寧にまとめられており、ヘリコンプラズマの学理の発展に大きく貢献するものと考えられることから、論文賞に相応しいと判断した。

第1回紅宝賞


受賞者 伊神弘恵(核融合研)
対象実績 「Comparison between Full Wave and Ray-Tracing Calculations to Examine Scenarios for Electron Bernstein Wave Heating in LHD」
*Plasma and Fusion Research Vol.11,2403098 p.1-4(2016)
選考理由  電子バーンスタイン(B)波は、ヘリカル炉や球状トカマク炉における高密度プラズマ加熱を実現する波動として大いに期待されている。短ミリ波帯のガウスビームを閉じ込め磁場に対してO波で斜め入射し、プラズマ遮断層でX波に変換し、これを高域混成共鳴層に送りこみB波を励起する。B波は高密度側に向かって伝播し、電子サイクロトロン共鳴層で吸収され、加熱をもたらす。このOXBモード変換過程は波動解析が必要であり、モード変換前のO波と変換後のB波の伝播・吸収は光線追跡法により解析する。入射から吸収に至るまでの波動電力の正確な伝播ルートを把握するためには、上記の波動解と光線解をOXBモード変換層の両側で適切に繋ぐ必要があるが、等閑にされてきた。本研究はこの結合問題解決の端緒を切り開いたものであり、この問題の重要性に鑑み、紅宝賞にふさわしい研究成果であると判断した。

平成30年度学会賞選考委員会

委員長:森 雅博(量研、副会長)
委 員:井口哲夫(名大)、諫山明彦(量研)、今井剛(筑波大名誉)、上田良夫(阪大)、大野哲靖(名大)、岸本泰明(京大)、久保博孝(量研)、豊田浩孝(名大)、中井光男(阪大)、長谷川晃(東北大)、前川孝(京大名誉)、村上定義(京大)、矢木雅敏(量研)、和田元(同志社大)