平成29年度プラズマ・核融合学会賞

平成29年度プラズマ・核融合学会賞は,次の方々が受賞されました。おめでとうございます。
授賞式および受賞記念講演はPLASMA2017/第34回年会初日(11/21(火)12時〜)に行われました。

第22回技術進歩賞


受賞者 村瀬尊則(核融合研),本島 厳(核融合研),田中宏彦(核融合研) ,森崎友宏(核融合研) ,増崎 貴(核融合研)
対象実績 「LHD 閉構造ダイバータにおける真空容器内蔵型クライオ吸着ポンプの開発」
*Plasma and Fusion Research Vol. 11,1205030 (2016)
選考理由 将来の核融合炉における粒子バランスは最重要課題の一つであるが,現在は壁排気に頼った実験が繰り返されている.本研究は,ダイバータ位置に内蔵型クライオポンプを設置して,主排気相当の粒子排気性能を確保しようとするもので,通常コンダクタンスで制限される排気性能の向上を実現している.粒子バランスを壁排気に頼らず能動的排気で制御するための機器開発において飛躍的な発展が本研究で行われていることから,技術進歩賞にふさわしい研究成果であると判断した.

第22回技術進歩賞


受賞者 藤岡慎介(阪大),長友英夫(阪大),城﨑知至(広島大)
対象実績 「パワーレーザーで生成したキロ・テラス級磁場の高エネルギー密度プラズマ科学への応用」
*プラズマ・核融合学会誌 Vol.93(2017)169-195
選考理由 本研究は,キロテスラ級強磁場を KJ 級高エネルギーレーザーで発生させ,それを高速点火レーザー核融合実証実験に使用することにより,それまで解決困難であった電子ビーム発散の抑制に成功している.この技術により,現在,レーザー生成プラズマと磁場との相互作用に関する研究が急速に進展している.これはレーザープラズマの新分野を開拓したことにも等しく高く評価できる.以上の理由から,技術進歩賞にふさわしい研究成果であると判断した.

第22回学術奨励賞


受賞者 仲田資季(核融合研)
対象実績 「ジャイロ運動論に基づくプラズマ乱流輸送の同位体質量効果に関する研究」
選考理由 受実平衡配位対応や多粒子種間衝突などの計算手法開発を着実に進め,開発した手法を用いたジャイロ運動論乱流シミュレーションにより,トロイダルプラズマにおける乱流輸送のイオン質量依存性を示したことは高く評価できる.以上のことから,今後の活躍が期待される若手研究者として学術奨励賞にふさわしいものと判断した.

第22回学術奨励賞


受賞者 小林達哉(核融合研)
対象実績 「JFT -2M トカマクにおける LH 遷移時の電場形成の物理機構」
選考理由 先進的なデータ解析手法を JFT -2M における HIBP 計測データの解析に適用し,L-MH 遷移において新古典ポロイダル粘性電流およびイオン損失電流による径方向電流が電場構造の形成に必要な電流とほぼ一致する一方,これまで重要視されていたレイノルズ応力による径方向電流の寄与が限定的であることを示すなど,L-H 遷移の物理機構の研究に新しい展開をもたらした.これらのデータ解析手法は 他の実験装置のデータ解析にも適用され新しい発見に貢献している.以上のことから,将来のさらなる活躍が期待され学術奨励賞にふさわしいものと判断した.

平成29年度学会賞選考委員会

委員長:白谷正治(九大、副会長)
委 員:上杉喜彦(金沢大),上田良夫(阪大),小野 靖(東大),鎌田 裕(量研),久保博孝(量研),佐々木浩一(北大),花田和明(九大),福山 淳(京大),政宗貞男(京都工繊大),矢木雅敏(量研),米田仁紀(電通大)