終了しました:2026/1/23 第1回 テーマ「核融合開発戦略」

  • プログラム:

  • 13:00〜13:10 挨拶、趣旨説明
  • 13:10〜13:50
     【講演1】フュージョンエネルギーイノベーション戦略(日本の核融合開発戦略)
           内野 隆(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局 参事官補佐)      
  •  【講演2】国内外における核融合研究開発)
  • 13:50〜14:20 講演2-1 トカマク型 浦野 創(QST)
  • [14:20〜14:40 休 憩]
  • 14:40〜15:10 講演2-2 ヘリカル型 坂本隆一(NIFS)
  • 15:10〜15:40 講演2-3 直線形装置などのその他方式 坂本瑞樹(筑波大学)
  • 15:40〜16:10 講演2-4 慣性方式 藤岡慎介(大阪大学)
  • 16:10〜16:40 アンケート、意見交換

【講演1】フュージョンエネルギーイノベーション戦略(日本の核融合開発戦略)

政府におけるフュージョンエネルギー政策の検討状況について
内野 隆(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局 参事官補佐)

2024年6月の新資本主義実行計画2024において、我が国として2030年代の発電実証を目指すとされたことを受け、令和7年6月にフュージョンエネルギー・イノベーション戦略が改定された。同戦略では、フュージョンエネルギーの社会実装を目指すに当たって考慮すべき課題について検討することや、バックキャストに基づくロードマップを策定することとされた。さらに、高市政権になってからは、日本成長戦略本部が設置され、同本部の指定する17の戦略分野の一つに、フュージョンエネルギーが位置づけられたところ。
本プレゼンテーションは、なかなか対外的に出向いていく機会の少ない、政策文書のたたき台の作成や予算要求に係る折衝など、実際に日々手を動かしている担当者(しかも内閣府と文部科学省を併任)による、政府戦略の検討状況に関する説明である。

【講演2】国内外における核融合研究開発)

トカマク型 
浦野 創(QST)

現代の核融合研究開発の中核であるトカマク方式における閉じ込め原理及びプラズマ閉じ込め研究について解説するとともに、JT-60SA実験、2023年に実施した統合試験運転の結果に触れながら、プラズマ制御手法の原理や近年進展しているAI技術の活用事例・企業との共同研究成果事例としてプラズマの閉じ込め磁場推定技術について紹介する。核融合炉の高総合性能化のための複合・多階層実時間プラズマ制御のために、AI技術の活用が期待されている。併せて、核融合研究開発の面白さ、日本が主導する世界の研究開発と学術研究のつながり、学術的発見、統合化の工夫、開発思想が如何にシステムを魅力的にするか等、様々な活躍の場が広がっていることを紹介する。

ヘリカル型
坂本隆一(NIFS)

磁場閉じ込め方式は,荷電粒子が磁力線の周囲を回転するラーマ運動を利用してプラズマを閉じ込める方式である.磁場構造を環状にすることで,有限の大きさの装置内に無限長の磁力線を作り出している.しかし,環状磁場には磁場強度の不均一性が生じるため,これを補償する工夫が必要である.そのためには,磁力線に捩れを持たせる必要があり,その方法としてトカマク型とヘリカル型がある.捻れた磁場を作る方法に相違があるものの,核融合炉実現に向けた本質的な課題は共通である.
外部磁場コイルのみを用いて捻れた環状磁場を作る方式がヘリカル型である.1950年台に世界で初めて作られた磁場閉じ込め装置はヘリカル型であった.その後,研究の主流はトカマク型に移ったが,日本とドイツにおいては,ヘリカル型の研究が続けられてきた.
日本では,大型ヘリカル装置(LHD)を用いた研究によって,トカマクとは異なった視点からトカマクを含む環状プラズマの諸問題を解決する学術研究に取り組んできており,環状プラズマの総合的理解が進展し,核融合開発研究へも貢献をしている.これらの成果や世界におけるヘリカル装置を用いた研究の歴史を概説する.

直線形装置などのその他方式
坂本瑞樹(筑波大学)

世界各国において、トカマク、ヘリカル、レーザー以外のその他の方式による核融合研究開発が活発に行われています。その他の方式においてはイノベーティブな概念や装置を用いて、核融合エネルギーの早期実現をめざしているスタートアップが多数あります。この講習会では、特にミラー方式と磁場反転配位(FRC)方式について、装置の概要や特徴について説明します。また、直線形装置は核融合装置としてだけでなく、実験や計測の自由度から原型炉開発に向けた要素研究としての意義も高いですので、その内容についても説明します。

慣性方式
レーザーフュージョンエネルギーとプラズマ科学 -高エネルギー密度プラズマ制御が拓くエネルギー革命と産業応用
藤岡慎介(大阪大学) -

レーザーフュージョンエネルギーは、超高温・高密度の高エネルギー密度プラズマの物理を基盤とし、その成立性・効率・信頼性は、プラズマ科学に立脚した理解と制御技術に依存している。エネルギー源としての実用化には、点火達成に留まらず、レーザー照射によるプラズマ生成、圧縮・燃焼、エネルギー取り出しに至る一連の過程を、高繰り返しで再現性良く制御することが不可欠である。本講演では、レーザー・プラズマ相互作用、圧縮・加熱機構、流体不安定性、放射輸送といった主要なプラズマ物理課題を整理するとともに、高繰り返し動作に特有の残留プラズマやデブリ、光学系へのプラズマ起因損傷などの課題を取り上げる。高繰り返し動作における課題は、半導体リソグラフィー用極端紫外光源プラズマの開発と本質的に共通しており、同分野で蓄積された知見がレーザーフュージョンエネルギー実現を加速するという研究開発エコシステムについて紹介する。

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主催/共催

一般社団法人 プラズマ・核融合学会

1958年湯川秀樹博士を会長として生れた研究者組織「核融合懇談会」が母体となって,1983年学術団体「プラズマ・核融合学会」として発足し,1988年には社団法人となりました.現在は,プラズマ理工学及び核融合科学に携わる研究者・学生ばかりでなく,宇宙プラズマやプラズマ応用技術等に関心を持つ人々にも広く参加していただいています.学会としては,核融合学にとどまらず,関連する技術開発,さらにはプラズマ応用等についての優れた情報交換の場となるよう努力しています.

一般社団法人 フュージョンエネルギー産業協議会(J-Fusion)

我が国の産官学の有志が一堂に集まり、日本からフュージョンエネルギーの産業を構築し、世界に発信すべく設立するのが「フュージョンエネルギー産業協議会(Japan Fusion Energy Council:J-Fusion)」です。業界内外の有志企業をはじめ、大学や研究所、公的機関や国の組織の同志も集まり、産官学の知恵と人材、知識と経験を集めて新たな産業を興し、未踏のサプライチェーンを構成することで、人類の未来に貢献することを目指してまいります。