この「用語百科事典」のページでは,プラズマ・核融合に関する用語を一般の方にもわかりやすく,少し蘊蓄(うんちく)を含めて解説します。用語の数は徐々に充実していく予定です。ご期待ください。

 

プラズマ

 固体,液体,気体に続く第4の物質状態とも言われているものです。高温のため気体中の原子から電子が分離し,電子とイオンが自由に運動できるようになった状態です。身近に目に止まるのは雷,蛍光灯の中などの放電によるプラズマだけで,プラズマはあまりないように思えますが,実は夜空の星はほぼ全てプラズマ状態で,宇宙の99%はプラズマ状態と考えられています。炎もわずかですが電離していますのでプラズマの一種です。なお,血液中の血漿(けっしょう)のこともプラズマと言いますが,当然ながら全く別物です。

 「プラズマ」という用語は「まぜこぜの状態」や「形成」を意味するギリシャ語からきていて,アメリカのラングミュアという学者が1928年に荷電粒子の集団をこのように呼んだことがはじまりです。「荷電粒子の集団」と言っても正イオンだけ,あるいは電子だけというのは通常はプラズマとは呼びません。また正イオン数個と電子数個だけでもプラズマとは呼びません。多くの正と負の荷電粒子がほぼ同数で電気的中性が保たれており,語源のとおりまぜこぜの状態になっていないとプラズマとは呼びません。

 プラズマには様々な応用があります。まずは照明。先に書いたように蛍光灯がそうで,この他街灯の水銀灯,ナトリウムランプ,最近普及し始めている車のディスチャージヘッドランプもそうです。プラズマディスプレイテレビは非常に小さな放電を光の点として画像を表示するようにしたテレビです。この他身の周りでは空気清浄機など放電により生成されるイオンをうまく使った家電製品があります。家電製品以外にもプラズマは,放電により固体表面処理を行うプラズマエッチングや薄膜生成などの工業的な応用があります。

 水素ガスの強力なプラズマ状態を作ると原子核同士がくっつくという核融合反応が起こります。太陽が輝き続けるのはこの反応によるもので,これと同じ事を人工的に行えば事実上無尽蔵のエネルギーを人間は手に入れられるわけで,精力的に研究が進められています。



2004.7.23rev

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