専門委員会>>核融合炉材料のヘリウム損傷

最終更新日:2006.10.27



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目的・内容

ITERの建設が決まり、核融合研究はいよいよ核燃焼プラズマを対象とする段階に入った.核燃焼環境下で使用される炉内材料においては,D-T反応によって生成したヘリウム(α粒子)の入射や、中性子照射した材料内における核変換によって,ヘリウムが混入する。ヘリウムは先在的な格子欠陥やはじき出し欠陥などと強く相互作用するため、材料の内部組織を大きく変化させ、材料の寸法安定性、機械的性質、伝熱的性質などの劣化、損耗,さらには、水素リサイクリングやプラズマの安定性などにも大きな影響を及ぼすことが懸念されている。そのため,このような現象の解明とそれに耐える材料の開発,および,水素やヘリウムなどの材料内滞留や再放出現象の解明とそれらの制御が,この分野の重要な課題となっている.本委員会は,このような現象の理解とそれらの制御を総合的に検討する目的で設定した.検討項目は,以下のとおりである.

(1) ヘリウムイオン等の照射による材料微細構造変化の機構論
(2) 照射による材料微細構造変化の評価法とその高度化
(3) 微細構造変化にともなう材料挙動(ヘリウムの再放出や材料内滞留,水素リサイクリング,材料寸法・形状変化,材料の機械特性変化等)の評価
(4) 照射環境の高度化(水素・ヘリウム・重イオン等数種類の高エネルギー粒子の同時照射,プラズマ装置実機による照射など)
(5) 新材料開発指針

 なお,本委員会は,九州大学応用力学研究所共同利用研究集会「核融合炉材料のヘリウム損傷」等の諸活動と連携して行う.

予想される効果

 本委員会は,プラズマ実験,イオン加速器を用いた材料照射実験,実機プラズマ装置を用いた材料照射実験,新材料開発,照射装置開発,材料モデリングなど,様々な分野の専門家から構成されている.本委員会活動をとおした密度の濃い議論から,下記のような成果が期待される.

(1) 実際の核融合環境下における材料およびヘリウム挙動の予測

(2) 上記(1)を可能にするために開発すべき新照射装置(照射場)の仕様策定

(3) 上記(1)に基づいた材料開発・材料選択指針

(4) 上記(1)に基づいた核融合炉設計・運転シナリオに関する提案

(5) 上記(1)を可能にするための材料モデリング手法の開発

なお,成果については,プラズマ・核融合学会年会のシンポジウム開催や,学会誌小特集記事の投稿などを通して公表する予定である.

主 査

森下和功(京都大学エネルギー理工学研究所)

参加メンバー

●幹事:
大矢恭久(静岡大理)  大野哲靖(名大エコトピア研)
加藤太治(核融合研)  徐_(京大炉)
上田良夫(阪大工)   岩切宏友(九大応力研)
吉田直亮(九大応力研)

●委員:
阿部勝憲(東北大工)     長谷川 晃(東北大工)
二田伸康(東北大金研)    鈴木哲(原子力機構)
江里幸一郎(原子力機構)   濱口大(原子力機構)
奥野健二(静岡大理)     高村秀一(名大工)
武藤俊介(名大工)      増崎 貴(核融合研)
芦川直子(核融合研)     義家敏正(京大炉)
小野興太郎(島根大総理工)  宮本光貴(島根大総理工)
田辺哲朗(九大総理工)    徳永和俊(九大応力研)

連絡先




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