最終更新日:2023.8.18

 このたび、本学会の会長を拝命しました安藤 晃です。2023(令和5)年7月より2年間務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。


 さて、本学会は、プラズマに関連する広範な学術領域を共通基盤として、核融合エネルギーの実現をめざした研究活動を中核に、宇宙プラズマ、材料科学、生命科学等の分野に拡がりを持つ、基礎研究から応用・開発研究にわたる幅広い研究活動を行う「プラズマ・核融合分野」の研究者コミュニティです。  1983年に創設された当時では、核融合の実現をめざした高温プラズマ研究が主たる研究分野でしたが、基礎プラズマにおける放電・原子分子物理研究をはじめ、宇宙・天文分野等との連携による学際研究の発展や、低温プラズマ研究の大幅な進展に伴う材料分野、医学・生命分野、農学分野等へのプラズマ応用研究の展開、また核融合研究においても核融合炉の設計・建設をめざした工学研究の拡大等もあり、現在の「プラズマ・核融合」学会は非常に幅広い研究分野を包含する学会として活動しています。  こうした広範囲にわたる研究領域の活動に対して、本学会の役割はますます重要になってきています。本学会の果たすべき使命として、会員間の交流を活性化して研究活動の促進を図り、研究分野を発展させるとともに新しい研究分野の開拓を促し、また、次世代へ向けた人材育成を支援することが求められています。これらの活動を推進するために、以下の課題に積極的に取り組み、学会のさらなる発展を目指します。


1. 本学会では、関連する広範な研究分野を、基礎、応用、核融合プラズマ、核融合炉工学の4つの領域に分けて、それぞれの特性に応じた専門性の高い学術交流活動を行うとともに、領域間の連携を通した学際化を図っています。学術研究交流の促進に向けて、これら4つの領域活動の活性化を図るとともに、中核事業である年会のさらなる充実を図ります。年会は現在、領域制に基づいて企画・立案されていますが、各領域がそれぞれ関連している他分野との連携企画を発展させるなど、研究交流のさらなる活性化を進めます。また、産業界からの参加を促し、研究者、学生と産業界が交流する場を企画するなど、年会をさらに充実させる取り組みを推進します。


2.本学会の会誌「プラズマ・核融合学会誌」の充実も、学術研究交流を促進する上で非常に重要です。最先端の話題や会員の関心の高いトピックスを取り上げるとともに、ITERやJT60SAをはじめ核融合研究やプラズマ応用関連技術等のプロジェクトレビューや、会員の皆様の関心が高いトピックスや他分野の専門家によるレビューなどの企画記事の掲載を進めるなど、研究交流の活性化に貢献します。また、国際的なアイデンティティを高める上で、日本から世界への研究発信をしっかりと行うことは重要と考えており、英文論文誌”Plasma and Fusion Research (PFR)”の国際学術誌としての存在価値を高める取り組みを継続して行います。領域制に基づいた質の高いレビュー論文や年会の企画に基づいたテーマ論文などの企画、学会賞との連携強化等を通じて、新規性、独創性の高い論文を増加させるなど、国際論文誌としての評価を高める取り組みを強化します。


3.社会的な課題となっているカーボンニュートラル実現に向け、プラズマ・核融合研究は非常に高いポテンシャルを有しています。本学会として、カーボンニュートラル実現へ向けたプラズマ・核融合研究分野の研究活動の紹介や、核融合有識者会議からの提言を踏まえたフュージョンエネルギー実現への展望など、プラズマ・核融合研究に関する社会へ向けた情報発信を強化するとともに、それに関連した産業界も含めた情報交換の機会を創出し、広く社会にその有用性を発信していきます。


4.さらに、将来へ向けた「プラズマ・核融合分野」の発展のためには、若い世代の人材獲得と人材育成が不可欠です。人材獲得には、プラズマ・核融合という研究分野を若い世代に広く認知・理解してもらうことが必要であり、これまでも継続的に開催してきた高校生シンポジウム等なども含め若い世代への積極的なアプローチを進めていきます。さらに、学生・大学院生の交流の場として発足し、大学院生が中心となって企画・運営している「若手夏の学校」活動や、女性会員増を含めた「男女共同参画活動」に関してもこれまで以上に積極的に取り組んでいきます。


 研究分野の発展や開拓、若手人材の育成は学会の使命です。本学会をさらに活性化させるためにも、会員増を図るとともに学会員のみなさまの活動を支援し、「プラズマ・核融合分野」の発展に貢献してまいりたいと思います。ご意見やご提案がありましたら、理事または学会事務局までお寄せ下さい。学会活動の推進がみなさまの研究のさらなる発展に貢献できれば幸いです。


2023(令和5)年7月
一般社団法人 プラズマ・核融合学会会長  安藤 晃