最終更新日:2025.6.11

この度、安藤前会長の後を継ぎ、プラズマ・核融合学会の会長を拝命しました 花田 磨砂也です。2025年(令和7年)7月から2年間務めさせていただきます。当学会は、1985年に湯川秀樹博士を会長として発足した研究者組織「核融合懇談会」が母体となって、1983年に学術団体「プラズマ・核融合学会」として発足しました。私が18代目の会長となります、よろしくお願いします。


本学会は、プラズマに関連する広範な学術領域を共通基盤として、フュージョンエネルギーの実現をめざした研究活動を中核に、宇宙プラズマ、材料科学、生命科学等の分野に拡がりを持つ、基礎研究から応用・開発研究にわたる幅広い研究活動を行うプラズマ・核融合分野の研究者コミュニティであります。本学会の使命として、会員間の交流を活性化して研究活動の促進を図り研究分野を発展させるとともに、新しい研究分野の開拓を促します。また、次世代へ向けた人材育成の支援やフュージョンエネルギーの早期実現に向けた政府の取り組みに貢献することも求められています。具手的な取り組みを以下に紹介します。


本学会では、研究分野を4つの領域(基礎、応用、核融合プラズマ、核融合炉工学)に分けて、専門性の高い学術交流活動を行っています。領域ごとに新規研究展開や発展に寄与するとともに、各領域がそれぞれ関連している他分野との連携や領域間連携を通じて、学会内での学際的分野への展開を図り、新分野創成への発展をめざします。年会においても領域ごと、また領域間で連携しながらシンポジウムや招待講演などの企画の充実を図ります。年会企画においては、各領域の協力の下で産業界からの参加を積極的に促進し、企業セミナー等の開催を行うとともに、研究者・学生と産業界が交流する場を設けます。各領域の活動状況の発信と領域内の情報交流のために、領域活動のホームページの充実と領域メーリングリストの運用を図ります。


学術研究交流を促進するために、本学会の会誌「プラズマ・核融合学会誌」の充実を図ります。最先端の話題や会員の関心の高いトピックスを取り上げるとともに、ITERやJT-60SAをはじめ核融合研究等のプロジェクトレビューや他分野の専門家によるレビュー等の企画、またJ-Fusion参加企業の技術の紹介など、フュージョンエネルギー研究関連情報の提供やプラズマ基礎、応用分野との研究交流の促進に努めます。また、英文論文誌Plasma and Fusion Research(PFR)の運用については、国際学術誌として継続的な運用体制を整備すると共に、質の高いレビュー論文やテーマ論文等の企画、学会賞との連携強化等を通じて、新規性、独創性の高い論文掲載をめざし、国際論文誌としての評価を高める取り組みを実施します。


社会問題の一つである地球旧温暖化対策の一つであるフュージョンエネルギーの実現に向けて、プラズマ・核融合研究に関する情報発信を強化します。特に、本学会として、プラズマ・核融合研究分野の研究活動の紹介や、核融合有識者会議からの提言を踏まえたフュージョンエネルギー実現への展望など、本学会からも政府や社会に広くアピールするとともに、それに関連した、産業界も含めた情報交換の機会を創出し、広く社会にその成果を発信します。


プラズマ・核融合分野の人材育成に積極的に取り組みます。近年、スタートアップ企業やJ-Fusion参画企業など他分野から核融合研究分野に関わる場合が増えることが予想されており、従前の科学教室、高校生シンポジウム等に加えて、高校生を対象としたジュニア会員向けの講習会を企画します。また、文部科学省、大学、研究機関等が進めるアウトリーチ活動、ITERスクールやJT-60SA国際学校への協力、さらに大学院生が中心となって企画実施する若手夏の学校への支援を継続します。さらに、「男女共同参画活動」に関しても、他の学協会とともに積極的に取り組みます。


2025(令和7)年7月
一般社団法人 プラズマ・核融合学会会長  花田 磨砂也