輸送&周辺プラズマ 

鎌田 裕(日本原子力研究所)

update is 2001.1.26 7時

 輸送,閉じ込め,周辺プラズマに関する主な話題を述べる.

1)トカマクにおける先進運転モード(弱磁気シア,負磁気シア)を用いた総合性能(高閉じ込め,高規格化ベータ,高ブートストラップ電流割合,完全非誘導電流駆動,高密度等)の向上とその維持についての良好な成果が,JT-60U,ASDEX-U,DIII-D,JET等から報告された.

2)このような運転モードを特徴づける内部輸送障壁(ITB)の形成機構は小型〜大型の多くの装置から報告された.特にECH/ECCDの実験が数多く行われ,電子系ITB形成の理解が進んだ.また,回転分布制御やペレット入射によるITB制御制御が報告された.CHS等ヘリカル系における径電場分岐と輸送障壁形成が実験・理論的に明らかになり,トロイダルシステム全体としての総合理解が進んだ.

 

3)これらと平行して,ITG / ETGモード等の計算機シミュレーションが数多く報告され,ストリーマ渦構造の生成/飽和,Zonal Flowによる乱流抑制,ITG / ETG乱流の応答の相違や相関が報告された.

4)Hモードのグローバル閉じ込め則については,JETをはじめとする新たなデータが98年Y2則を一層支持した.球状トカマク(MAST,NSTX)の閉じ込め特性はITERの比例則に従うことが示された.

 LHDからは周辺ペデスタル構造の形成により,トカマクのHモード閉じ込め則とほぼ一致する良好な閉じ込め特性が報告された.特に,メルシエ不安定とされていた領域であっても良好な閉じ込め性能が得られた.

5)高密度における高閉じ込め性能の獲得も中心的話題であった.コア部温度分布のStiffnessがASDEX-U,JT-60Uの高密度運転で観測され,周辺ペデスタル温度がコア閉じ込めを大きく左右,高密度化に伴う周辺温度の低下が閉じ込め劣化に繋がると報告された.強磁場側ペレット入射も数多く行われるようになり,JETやDIIIDでは高密度(〜グリンワルド密度)で高い閉じ込め性能を得た.希ガス入射による閉じ込め改善も数多く報告され,同電子密度での高ペデスタル温度の上昇,電子密度分布中心尖頭化,不純物による乱流抑制等が原因として議論された.

6)粒子・熱除去に関しては,ダイバータ排気性能の向上がヘリウム排気性能を向上させている(JET,JT-60U等).一方,Giant ELMによる大きな瞬間ダイバータ板熱負荷が解決すべき課題としてクローズアップされた. 熱負荷の小さなELMおよびEDAモードの発生領域が高三角度・高安全係数としてJT-60U,ALCATOR-C Mod, ASDEX Uから報告された.C-Modでは間欠的なELMの替わりに周辺密度揺動が観測された.DIII-Dで見いだされたELM-freeの準定常高閉じ込めHモードとの関連も興味深い.

7)これらのデータに立脚してITERのコア〜ペデスタル〜ダイバータにわたるデータベース活動が一層充実し,その外挿性が高まった.