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ミリ波サブミリ波の発生と応用

最終更新:2006.5.19


 電波と光の中間に位置するミリ波サブミリ波は,従来,有効な高出力・安定化光源の欠如から,電磁波の幅広い波長領域の中で,唯一,ほとんど未開拓の状態にあります。最近になって,ジャイロトロン,自由電子レーザー,遠赤外分子レーザー等,特色ある光源の開発が進展し,ミリ波サブミリ波領域の光源として,実用化への道が開けてきました。また,フェムト秒短パルスを用いたサブミリ波帯の光源の開発と分光技術への応用も進展しています。第16回専門講習会では,「高出力」,「ミリ波サブミリ波」をキーワードに,これら新たに実用可能となった光源の,新素材開発,新医療技術,各種加熱技術,サブミリ波分光技術等への応用について,講義していただくようプログラムを編成しました。

ミリ波サブミリ波の発生技術及び応用技術は,まさに緒に着いた段階にあり,今後新たな展開が予想されます。この分野に関心をお持ちの研究者,技術者,学生の方々には,大変役立つものと期待されます。多くの方々のご参加をお願い申し上げます。

日 時

2004年 1月10日(土) 9:30〜16:30

場 所

東京大学山上会館(本郷キャンパス) 大会議室

申込方法

(1)参加申込書(PDFファイル)を事務局までfax(2)Subjectに「講習会参加希望」と明記して1. 参加者氏名2. 勤務先3. 所属(住所,Tel,Fax,E-mail)4. 会員種別(正会員,学生,非会員の別)5. 所属学協会名,6. 参加費請求書の有無をE-mailで事務局宛 送信。

申込期限

2003.11.28(金)

定 員

参 加 費

参加費には消費税,及びテキスト代が含まれます
正会員(協賛学協会員を含む),賛助会員,学校・国立研究所の職員:15,750円,学生:5,250円 会員外:21,000円

主 催

(社)プラズマ・核融合学会

協 賛

遠赤外線応用研究会,遠赤外線協会,応用物理学会,電気学会,電気情報通信学会,日本赤外線学会,日本原子力学会,日本物理学会,日本分光学会,レーザー学会

現地実行委員長

出原敏孝(福井大学遠赤外領域開発研究センター)




9:30(10分)

開会挨拶と講習会概要説明 

出原敏孝(福井大)

9:40(60分)

休憩10分

高出力ミリ波ジャイロトロンの開発と応用

坂本慶司(原研)

この10年の間,大電力ジャイロトロン研究において,エネルギー回収による高効率化,超高次モードによる100GHz帯1MW単一モード発振の実証,人工ダイヤモンド窓による1MW出力の実現等のブレークスルーが達成され,大きな進展を遂げた。国際熱核融合実験炉(ITER)計画においても,1MWジャイロトロンを用いて周波数170GHz,入射出力20MW以上のECHシステムが計画されている。講演では,これまでの研究開発の経緯や背景となった技術を解説するとともに,今後の展望を述べる。さらに,プラズマ加熱や安定化研究への適用,マイクロ波推進等の最新の話題についても紹介する。

10:50

(60分)

高周波サブミリ波ジャイロトロンの開発と応用

出原敏孝(福井大)

 ジャイロトロンは,ミリ波サブミリ波の広い波長領域を覆う(周波数30GHzから1THz)高出力の光源として開発が進められており,いまだ未開拓の状況にあるこの波長領域の新技術開発の推進力として期待されている。本講演では,高周波ジャイロトロン開発の現状を概観し,サブミリ波光源としての付加価値を高めるための高周波化,高安定化,振幅変調,周波数変調等への取り組みについて述べる。また,サブミリ波ジャイロトロンを用いることにより,最近新たな展開が見られる新素材の開発,新医療技術の開発,環境リモートセンシング技術の開発等,高出力サブミリ波技術開発の動向について述べる

11:50(70分) 昼 食

13:00(60分)

休憩10分

高出力遠赤外レーザーの開発とその応用

岡島茂樹(中部大)

 遠赤外レーザーは波長25μm〜1mmの間のレーザーで,1964年に成功して以来,分子構造研究,固体物性研究,天文研究,長さ標準研究,プラズマ診断等において重要な光源として活用されてきた。放電励起型と炭酸がス励起型,及びパルス発振型とcw発振型に大別される。最近ではWクラスのcwレーザーも可能になり,周波数の安定な狭帯域の高出力光源としての地位を確立している。プラズマ計測では放電励起の337μmHCNレーザー,195μmDVNレーザーが多く使われ,炭酸ガスレーザー励起では119μmCH3OHレーザーが多く使われており,欠かせない計測用光源となっている。最近,高出力57μmCH3ODレーザーが開発され,注目されている。講習会では,cwの放電励起レーザー及び炭酸ガスレーザー励起レーザーを中心に,最近の開発の動向と利用の様子,さらに製作・使用する場合の注意点等について述べる。

14:10(60分)

休憩10分

高出力遠赤外自由電子レーザーの開発

河合正之(東京理科大)

自由電子レーザー(free electron laser: FEL)は,光速に近い電子塊が周期磁場の中を蛇行運動するときに発生するシンクロトロン放射光を,一対の合わせ鏡で構成される光共振器に閉じ込めることによって生ずる,位相のそろったコヒーレントな単色光(レーザー)である。原理的に,連続可変波長で高いピーク出力が得られる。本講では,東京理科大学と川崎重工業が,平成11年度から5年間,東京理科大学「赤外自由電子レーザー研究センター」において実施中の,高出力遠赤外自由電子レーザーの共同開発について解説する。

15:20

(60分)

フェムト秒レーザーを用いたテラヘルツ時間領域分光・イメージング技術の開発と応用

萩行正憲(阪大)

近年,未開拓電磁波と呼ばれていたテラヘルツ波(0.1-10 THz)をフェムト秒レーザーを用いて発生する技術が急速な進展を遂げている。高出力というわけではないが,その発生・検出手法に特徴的な高いS/N比と応用の柔軟性から,従来遠赤外光と呼ばれたこの電磁波は,新しい分光とイメージングのツールとして期待されている。本講習では,このテラヘルツ波の発生と検出手法,様々な分光応用,並びに,イメージングへの応用について紹介する。

16:20 閉会挨拶