最終更新:2011.8.23 [2012.2.21rev.]

会長からのご挨拶

 プラズマ・核融合学会会長 小川 雄一
  



 2011年3月11日の東日本大震災で犠牲となられた方々に対して謹んで哀悼の意を表すると共に、被災者の皆さま方に心よりお見舞いを申し上げます。プラズマ・核融合学会といたしましては、被災された方々へのご援助と被災地の復旧・復興に向けて、できるかぎりご支援を申し上げていきたいと考えております。また福島第一原子力発電所の事故は、原子炉の安全性や放射線被ばくの問題のみならず、科学技術に対する社会の信頼を失墜させたと言っても過言ではありません。このような、我が国にとって大きな試練に直面しているこの時期に、プラズマ・核融合学会の会長を拝命することとなり、その責任の重さを痛感いたしております。

 ところで本学会は、「プラズマ・核融合に関する学理並びに技術の追究を通して、我が国における学術,科学技術並びに産業の発展に寄与すること」、を目的としております。ここに掲げたプラズマと核融合を縦糸とするなら、学理と技術という横糸でこれらを紡いていくのが本学会の使命であると言うことができます。
   固体・液体・気体に続く物質の第四の状態である「プラズマ」は、太陽や核融合のような超高温プラズマ領域から、プラズマテレビや半導体プロセッシング等の産業応用プラズマなど、非常に幅広い科学技術分野で取り上げられ、様々な研究が進められています。これらを学理と技術という横糸で紡ぐべく、2011年11月にPlasma Conference 2011を金沢で開催いたしました。これはプラズマ・核融合学会第28回年会、応用物理学会第29回プラズマプロセシング研究会、および日本物理学会(領域 2)2011年秋季大会を合同で開催したものであり、多くの協賛学会も加わって頂き、プラズマをキーワードに我が国の学協会が一堂に会する画期的な会議でありました。1000人を超える多くの参加者があり、幅広い横断的な学術交流ができたと言え、これによりプラズマコミュニティの学術基盤がより一層強固なものになったと確信いたしております。

 一方、「核融合」に関しては、核エネルギーであるということを踏まえつつ、資源量、供給安定性、安全性、環境適合性、核拡散抵抗性などの観点から核融合エネルギーの開発意義を再確認すると共に、次世代のエネルギー源の一つとして社会に対してアピールしていく必要があります。核融合エネルギー開発は、社会の理解と支援なくして推進することはできません。したがって、今後ますます社会との対話が重要となり、社会受容性の向上に向けてより一層努力する必要があります。

 安全・安心な日本の社会を維持し、発展させるためにも、科学技術の果たす役割と社会的責任は益々重要となってきております。また我が国が世界に伍し、かつ世界へ貢献するためには、今後も科学技術創造立国として努力してゆく必要があります。最先端技術の産業基盤でもあるプラズマと、将来の基幹エネルギー源の有力な候補であり、人類究極のエネルギー源でもある核融合は、まさにこの理念を具現化するための学術・技術分野であると言っても過言ではありません。

 しかし一方で、今回の福島原発の事故を顧みますに、科学技術に対して過信や慢心があってはなりません。科学技術の限界や潜在的危険性を常に認識し、自戒の念を持ち謙虚な態度で臨まなければならないと思っております。また社会に対しても、科学技術の素晴らしさのみならず、その怖さも同時に理解していただきながらその進展を図らなければなりません。一般社会の人達が、科学技術を正しく理解し正当に評価していただけるよう努力するのも、我々研究者の大きな役割の一つであります。

 最後になりましたが、本学会の源泉は、ノーベル物理学賞を受賞された湯川秀樹先生らが中心となって1958年に発足された核融合懇談会であります。その懇談会を中核として1983年にプラズマ・核融合学会が設立されました。先人の築いた本学会の基盤を継承し、さらに発展させるべく、今後も努力していく所存ですので、会員の皆さまのみならず、社会一般の方々からも、叱咤激励も含めたご意見やご要望をお寄せいただきたくお願い申し上げます。

 学会といたしましては、社会と共に本学会の発展を図っていく所存でございます。

 

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